北口雅章法律事務所

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「虫垂突起のような異物」

 名古屋地裁の裁判官らは,民事9部(行政事件集中部)を除き,「行政法=公法の原理・原則」が解っていない??!!と批判する前に(この批判が成立するかどうかはともかく),私自身,初心に立ち帰って,「行政法=公法の原理・原則」を基本・根本から勉強し直す必要性を感じた。

 そこで,学生時代から使っている「権威ある行政法の教科書」数冊 ― といっても,いずれも,元東大教授・約3名(S・H・U)が各々執筆した教科書であるが,― は,全て最新の改訂版を取りそろえてあり,一応理解しているつもりではいるものの,目新しいところで,今般,新たに藤田宙靖・前最高裁判事(東北大学名誉教授)「[新版]行政法総論・上」(青林書院)を購入し,関心のある記述部分を読み始めた。
 本書は,最新の行政法理論が踏まえられており,かつ,非常に示唆に富み,深く,透徹した考察で貫かれており,大変に興味深い。

 さて,上記藤田本を読んでいくと,
「公法私法一元論の優勢の下で『いわば虫垂突起のような異物として軽視されてきた』行政事件訴訟法四条の『公法上の当事者訴訟』につき,・・・」という記述が出てきた。

あのですね,藤田先生,「虫垂突起のような異物として軽視されてきた」といわれるが,虫垂炎を見逃すと致死的な事態(ひいては医療裁判)が起こりえ,医学的には,決して「軽視」してはならない(実際,軽視もされていない)臓器なんですけど・・・?