北口雅章法律事務所

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「同性婚」論議(日)と,「中絶」論議(米)との違い

アメリカでは,昨今,国論を二分(?)する論議として,「中絶の権利」を「憲法上の権利」として承認するか否かが連邦最高裁判決の是非をめぐって話題になっている。これと似た議論で,日本でも,「同性婚」が「憲法上の権利」として承認されるか否かをめぐって,裁判官(いずれも女性裁判官)の判断が別れた。

 

私の感覚では,「同性婚」論議(日)と,「中絶」論議(米)とでは,「議論の土俵(レベル)」が違うように思う。

アメリカ合衆国憲法修正第14条では,「中絶の権利」について明言しておらず,「プライバシー権」に属すると考えるには,やや無理があるように思われる。この意味では,「中絶の権利」を承認するか否かは,本来的には,「立法政策」の問題であると思われる。
 これに対し,日本国憲法のもとでは,「憲法上で」同性婚を認めるか否か「同性婚を認めないこと」が憲法違反になるか否か)の問題は,「立法政策」の問題というよりかは,いわば「憲法政策」の問題であるように思われる。何故なら,日本国憲法は,「婚姻は,『両性』の合意『のみ』に基づいて成立」(24条)すると明確に規定(価値判断)しているからだ。

このように考えると,「土井判事の判断の方に一票」ということになる。