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神岡町(飛騨の最北端)に遺る円空仏

 神岡町に分布する円空仏の多くは、眉目を細い刻線で表し、口元に笑みを表現するといった簡素な顔立ちを特徴としている点で、富山(越中)のそれと共通しており、極めて簡素・素朴である。また、多くの民家に像高一〇㎝前後の観音菩薩坐像を遺していることも、富山(越中)と神岡町に遺る円空仏は共通している。したがって、両地区に分布する円空仏とは、同時期に造顕されたもの考えられる。

(白山神社・白山妙理神座像)像高16.5㎝

 

(若宮八幡神社・白山大神座像)像高18.7㎝

 

(神明神社・牛頭天王座像)像高36.5㎝

 

以下は、すべて民家に遺された像高10㎝前後の観音菩薩座像

 

もっとも、神岡町に分布する円空仏は、富山(越中)とは必ずしもすべての面で共通しているわけではなく、むしろ飛騨の山岳部(上宝村等)と共通する部分もある。具体的には、第1に、目が細い刻線ではなく、目ん玉が浮き出るように刻されている像がみられる。例えば、下掲・不動明王や、韋駄天像がこれである。

(左:円城寺・不動明王、右:瑞願寺・韋駄天)

 

第2に、富山に遺る円空仏については、図録では、異形がみられないようであるが、神岡町の円空仏には、迦楼羅や、稲荷の像容をもつ像が遺されている(ただし、これら異形の背銘では、何故か「護法神」とされている。)

(白山神社、迦楼羅の像容の護法神)

 

(白山神社、稲荷の像容の護法神)

 

写真出典:神岡町教育委員会発行「神岡の円空仏」