弁護士のブログBlog
円空の和歌を理解するために、何らかの参考や、解釈の手かがりになりそうな和歌が載っていないものか?という思いから、昼のランチの待ち時間など、所携の岩波文庫の和歌集(「西行全歌集」とか「定家八代抄」とか)をポケットから取り出して、拾い読みしていると、偶にドキッとすることがある。
僧正遍昭の歌に
山臥しの 苔の衣はただひとへ
かさねばうとし いざ二人ねん
[歌意]俗世間に背を向けて出家した私が着る粗末な僧衣はただ一枚です。あなたに貸さなければ冷淡な男と思われよう。この一枚の衣でさあ二人で共寝しましょう。
僧侶が女性を誘惑? 色魔か? と思いきや、
よくみると、詞書(和歌の前書)に「返し」とあるので、その前に詠まれた女性の歌に対する返歌だとわかる。
そこで、その前の歌を見ると…
詞書に「石山寺(いそのかみでら)という所に泊まりて、遍昭がみえると聞いて、(使者を)遣わして(詠める歌)」とある
その女性の歌とは、
岩の上に旅寝をすれば いとさむし
苔の衣をわれにかさなん
[歌意]岩の上で旅寝をすると非常に寒い。あなたの僧衣を私に貸してくださいな。
歌の主は誰か?
小野小町でした。
僧侶を誘惑したのか(直球か)、あるいは、からかったのか(変化球か)?
才媛はおそろしや