北口雅章法律事務所

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続:円空は、何故、仏像に舌を出させたのか?

 先のブログで、円空が晩年に刻した如意輪観音像(岐阜県高山市若達町・東山白山神社)や十一面観音像(岐阜県・洞戸高賀観音堂旧蔵)などでは、仏像の口から舌が出でいるが、その理由として、「仏像の品位」を保つべく「舌が目立たない」ようにしつつも、「イタズラ心」が働いたのではないか、と推察した。
 だが、恥ずかしいことに、このほど、このような推察が「的外れ」であった可能性が高いことを知るに至った。

石田茂作著「仏教美術の基本」によると、「仏の下は広長である」広長舌相)との特徴があるそうで、阿弥陀経によれば、阿弥陀如来は、広長の舌相を出して普く世界を覆う旨のことがかかれているらしい。
ネットで検索しているみと、確かに「広長舌相」の例が出てきた。

 

そうなると、円空が口から舌を出した仏像を造顕したのは、「イタズラ心」や「遊び心」などではなく、その前提に「広長舌相」を知識として得ていた可能性が高い。したがって、円空は、鉈薬師堂で初めて十二神将を造顕した後、音楽寺(愛知県江南市村久野町)で十二神将(辰)を造顕するまでの間に、何処かで「広長舌相」のモチーフに接見する機会があった可能性が高いように思われる。