北口雅章法律事務所

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「裁判に臨む心得」―日蓮の手紙から―

文永6年(1269年)、ある日突如、日蓮の弟子・富木常忍が、二人の門弟とともに、鎌倉幕府から、問注所(裁判所)に出頭を命じられた。その際、日蓮が、その弟子に送った手紙には、「裁判に臨む心得」として、以下のことが書かれていたという(『問注得意抄』)。

1.法廷では、無用の発言は一切するな。

2.法廷では、奉行人(裁判官)から尋ねられたこと以外は、決して発言するな。
(例えば、訴状の読み上げの途中で反論するな。)

3.訴状・陳状を読み上げているとき、相手方から罵詈雑言(悪口)を浴びせられても、2回までは我慢せよ。3回目に至ったら、涼しい顔で冷静に、穏やかな言葉で申し向けなさい。「おのおの方は、同じ幕府に仕える同輩である。当方には何の遺恨もござらん。」と(相手方の挑発にのるな)。

4.お供や召使いをして、相手方のお供や召使いと言い争いの喧嘩をさせるな。

日蓮は、「御成敗式目(裁判法)」51ヶ条は、全て頭に入っていたらしい。