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空海の釈伝がNHK・大河ドラマにならない訳

先般、西宮紘の「釈伝・空海」を読んで、非常に面白かった。

文字通り波瀾万丈の人生には、幼少期の神童ぶりを示す逸話の数々、山岳修行、遣唐使として長安留学(恵果・永忠等との人間交流)、親友・藤原真川との交友関係、秘められた恋(子部の尼住江の海娘子あまおとめ)、嵯峨天皇との交流、高野山入り、東寺入り、綜芸種智院創設等々、ドラマのエピソードに事欠かない。

だが、大河ドラマ化が難しいのは、公共放送で特定宗教を称揚することにつながりかねないという懸念、特に天台宗の開祖・最澄をコケにしてしまった逸話は避けて通れないことによる他宗派との軋轢が懸念されること等もさることながら、やはり登場する女性(母・弥穂都子、弟の乳母・笠女、如意尼等)のウエイト、従って登用される女優の数が男優に来れば圧倒的に少なくならざるを得ないからであろうか。
あるいは、現在の日中関係に照らし、長安(現在の陝西省都・西安)でのロケに無理があるからであろうか。時代考証のできるスタッフを確保するのも難しいのかもしれない。

それにひきかえ、NHKで、円空をドラマ化できた(ただし、大河ドラマではない。)のは、早川暁(あきら)氏の脚本能力もさることながら、円空の場合、むっつりではあるが、やや生臭い側面もあったと想像されることも一因であろう(昭和63年7月2日放送;NHKドラマ・スペシャル「円空」)