弁護士のブログBlog
「あまりに悪質」というが…?
- 2024-08-30
NEWSポストセブンに、悠仁殿下の「東大進学に対する反対署名」に関して「あまりに悪質…」という標題の記事が出ていた。
そうだろ、そうだろう。運営サイトが、突如、「署名(運動を)ストップ」させたのは、いわば社会権力による、不当な「事実上の検閲」・横暴であって、「署名(運動を)ストップさせた」理由が「あまりに悪質」(理由が不明・薄弱)なんだろう、という前提で、記事を読み進めると、……
なんと、驚いたことに、「あまりに悪質」なのは、「運営側が」署名(運動を)ストップさせたことの方ではなく、「匿名参加」による、「運動グループが」署名運動を行うこと自体が「あまりに悪質」なのだという。
はぁ??
「大学ジャーナリスト」を自称する「石渡嶺司氏」とやらは、「名門校の学内では推薦を受けるのも高いハードルがあり、そのために論文執筆の努力を重ねて何が悪いか」というが、論点をスリカエないでもらいたい。
署名運動の理由について、運動グループは、「学問の世界において、盗用は犯罪であり、そのことが国際的に報道され、国際的にも『盗作をする汚い奴』と思われかねない過去の行状について謝罪しない人物が、はたして日本国の象徴として相応しいのか」を問うものであって、殿下が一流の学者と連名で公表している論文についても、複数の疑義があることを具体的かつ詳細に指摘しているもので、「論評」の範疇を逸脱するものとは思えない。批判の矛先は、若殿下に向けられているというよりも、主として、批判の矛先は、特定宮家・宮内庁・東京大学学長に向けられていることは明らかであるように思われる。
「ユーザーの皆様からガイドライン違反の通報が複数あった」というが、「ガイドライン」のどの条項に、いかなる理由から違反するのかを明示しないで、その修正の機会を与えることもなく、「社会的権力」が当該表現の内容自体を理由に表現活動の自由〈署名運動の自由も当然に含まれる〉を禁圧ないし抑圧するのは、「検閲」の理念〈表現活動の事前抑制の原則的禁止〉に反するのではないか。