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袴田事件につき、本日(令和6年9月26日)、静岡地裁(国井恒志裁判長)が再審無罪判決をくだした。
再審無罪判決は先の東京高裁決定が出て以降は「既定路線」であったが、法曹関係者の実質的な関心事項は、既に東京高裁決定が言及していた「証拠捏造」の問題をどのように認定するのか、検察側の「面子(メンツ)」に配慮するか否かに移行していた。
詳細は不明だが、静岡地裁(国井恒志裁判長)は、やはり「証拠捏造」を認定したようだ。
「自白」調書の「実質的な」捏造は、検察側の反発を招きそうだが(だからといって、検察側には控訴するだけの気骨はあるまい。)、少なくとも「犯行着衣」とされた「5点の衣類」について「証拠捏造」を認定したことの法律的な意味、その重大な犯罪的意義を改めて考える必要がある。
すなわち、
上記「捏造証拠」が発見された経緯(袴田さんの「公判中に」その勤務先である味噌製造工場の味噌タンクから「捏造方法が稚拙」極まりない「捏造証拠」が発見された。)ということは、静岡県警の警察官が「捏造証拠」を用いて袴田巌さん(当時「被告人」)をして有罪判決を確実に導く目的で(有罪となれば罪質・被害者数に照らし死刑は確実である。)、意図的に「味噌タンク」に捏造証拠を「仕込んだ」ものと考えざるをえない。
これは、「未必の殺意」をもって(=死刑判決・死刑執行の実現を目的として)、裁判所を騙す行為であって、
静岡県警・警察官らの所為は、刑法理論的には、歴とした
殺人罪の間接正犯(再審無罪による未遂)
ではないか。さらにいえば、
そのような静岡県警の「捏造証拠」を有罪立証に活用した
静岡地検の検事らの所為については、
殺人罪の間接正犯の幇助罪
が成立することになる、のではないのか?
マスコミは、「証拠捏造」が認定された、事件の「本質」を見逃してはならない。
確定判決(1審)の「巻き添え」にあった、左陪席裁判官(当時)の亡熊本典道さんだけが「晒し者」にされるのはフェアではない。