北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

ヴェネツィア共和国の祝祭 「海との結婚」?

先のブログに書いたとおり,
巨匠Fellini監督の映画「カサノヴァ(CASANOVA)」をニコニコ動画でみていたら,
面白い映像を発見した。

本映画の冒頭は,ヴェネツィア共和国の祝祭場面で始まる。

リアルト橋ではないか!

このシーンの後,高い塔の上から,テープカットと同時に何やら落下してくる。

テープ・カット(↓)

何かが塔の天辺から落下してくる。

 

(これでは,何か分からない)

きらびやかな衣装をまとった男性だ。そして,海中に落下する。

そして,司祭が,「月の女神よ,奥深い洞窟を離れて,
 黄金に輝く頭を出せ!」と唱えると,・・・

 

海から「月の女神」が現れて,リアルト橋の前を移動していく(↓)。

 

ここで表現されている情景は,指輪をもった男性が,海中に落下して「月の女神」に指輪を捧げ,

「陸のヴェネツィア共和国」が「海の女神」と「結婚」したこと,
 つまり,ヴェネツィア共和国の祝祭「海との結婚」の当時の様式ではないか?

 

学生時代には,到底着想できなかったことが,
この年になって思いつくのは,年をくったからでもない。
 最近,カール・シュミットの本を読んだからだ。

ヴェネツィア共和国の祝祭「海との婚約」の話は,
カール・シュミット(Carl Schmitt;ドイツの憲法学者・法哲学者)の
「陸と海」(中山元訳)に出てくる。

ヴェネツィア共和国の総督(ドージェ)は,キリストの昇天の前日(昇天祭)で,
贅沢な装備をした共和国の船(ブチェントロ)で海に乗り出し,「海との婚約」の証しとして,指輪を海の中に投げ込んだという。この祝祭は,「海から生まれた力」と「海から生まれた富」に,神話的な承認を与える儀礼のシンボルとみなされた,という。

世界史を「海(リバイアサン)と陸(ヒビモス)の戦い」として地政学的に描いた,
カール・シュミットの傑作「陸と海」は,非常に面白かったが,これについては,また,別のブログで紹介したい。

 

追記

このブログは,私の仕事の依頼者も結構よんでいる。ブログ投稿がしばし途絶えると,「かつての」依頼者からは,「もっと!!,毎日,書いてくれ!」と言われるし,書き過ぎると,「現在進行中の」依頼者から,「先生,なに油うってんの!?,そんな時間があったら,早く,ワタシの仕事やって頂戴よ!」と怒られそうだ。やらねばならぬ仕事をちょっと,溜めちゃったかな。