北口雅章法律事務所

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「白さ」が違う,「伯父」と「叔父」

子どもからみて,
「父の兄」又は「母の兄」が「伯父」で,
「父の弟」又は「母の弟」が「叔父」だ。

「伯」は,「白」を含み,「叔」にも「白い」という意味があるが,
その「白さ」は違う。
「伯」の「白」は,白骨化した頭蓋骨(髑髏どくろ)の白さで,
「叔」の「白」は,金属(銀・錫等)の刃が光り輝く白さだ。

白川静先生によると,
「白」は,風雨にさらされて肉が落ち,白骨化した頭蓋骨の形であることから,「しろい」の意味となり,偉大な指導者や討ち取った敵の首長の頭は,白骨化させた髑髏(されこうべ)として保存したという。すぐれた首長の頭骨には,優れた呪霊(霊の力)があると信じられていたからである。それで,そのような首長のことを「伯」といい,その「伯」が転じて,「兄」の意味になったという。

これに対し,「叔」の方は,「尗」が,「上」(戉[まさかり]の頭部=刃)から,下に向かって,白光りが放たれている形で,「又」は「手」の形である(つまり,手で戉をもっている形である。)。「戉」の刃の光は,白く,ものを清める力があると考えられたことから,「叔」は,「しろい」と「よい」の意味を併せもつ。そして,「叔(シュク)」と「少(ショウ)」の音が近いので,「叔」は,「わかい,年下」の意味にも用いられることになったという。

ちなみに,「伯仲の戦い」とか「勢力伯仲」という言葉があるが,
ここでの「伯」は長兄,「仲」は次兄の意味。
中国古代の「周」では,兄弟の順序を「伯・仲・叔・季」といったとのこと。

学校教育では教えてもらえなかった,「漢字のお勉強」の時間・・・でした。

<参考> 白川静「常用字解」(平凡社)