弁護士のブログBlog
「改憲」を唱える安倍総理が,
小西洋之議員(立憲民主党)から,
「法の支配」の「対義語」を問われ,
「人の支配」と正解できなかったことが話題となっている。
思わず笑ったが,
安倍総理が小西議員のからの質問で,
「法の支配」の「対義語」を「人の支配」と正解できなかったことが,
「デマ」だというブログを見つけた。
曰く,
「安倍総理が回答できなかったというデマ」が(小西議員)本人によってばらまかれ,
「法の支配の『対概念』は人の支配ではありません」
だとぉ???
「芦部憲法も一言だけ触れている」
「法の支配の『対義語』が人の支配だという説明を私は見たことがありません。」
だとぉ???
「芦部憲法」(亡芦部信喜・東京大学名誉教授の憲法学)では,
「 法の支配の『対義語』が人の支配」である旨を明確に述べている。
曰く「『法の支配』は,…,専断的な国家権力の支配(人の支配)を排斥し,権力を法で拘束することによって,国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理である」と。
芦部信喜「憲法学 Ⅰ 憲法総論」(有斐閣)第1版
なるほど,
安倍総理は,小西議員からの質問に対し,
当初,その質問をはぐらかすべく,
ご自身のいう「法の支配」とは,「力による現状変更」を排斥する国際法による法の支配である旨の回答をしている。また,国際関係における「法の支配」の場合は,その対義語は,「力の支配」にであるという見解も存在するであろう。
しかしながら,
小西議員は,安倍総理に対し,
さらに畳みかけるように,
「『法の支配』の対義語は,憲法を習う大学の1年生が,初日に習うことである」と述べ,かつ,「(日本国憲法の)改憲を唱える安倍総理に『法の支配』の対義語を一言で答えてください。」
と食い下がっているのであるから,
小西議員の質問の趣旨は,
国際法上の『法の支配』の対義語について回答を求めるのではなく,
日本国憲法の基本原理である『法の支配』について,
その対義語を回答するよう求めていることは明白である。
したがって,「力の支配」が正解ではありえず,
安倍総理が,その対義語(人の支配)を回答できなかったことは明らかである。
(なお,安倍総理が,そのようなクイズ的な問題に対し正解できなかったことを取り沙汰することの是非,このこと自体から改憲論を唱える資格がない,などと野党が批判することの是非については,ひとまず措く。)
したがって,
「この場合の法の支配の『対概念』は人の支配ではありません」などと言ってのける,
ブログ氏のブログの方が,明らかに「デマ」!!である。
おい,ブログ氏よ!
コソコソ隠れていないで,“表”へ出ろよ!
名を名のれよ!!,顔を出せよ!!,
アンタこそ,デマかせの「デマ」を流すなよ!!
「真面目に」改憲問題を議論する気があるならさ。