北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「令和」 時代の万葉集講座

ちまたでは,

新元号の発表とともに,万葉集本が売れているらしい。

私も早速,
自宅の書斎の書棚に置いてある,
大学時代に購入して読んだ「萬葉集二」(岩波書店)を手にとり,
ブログ読者のため(?),巻第五・815以下
「梅花の歌32首」の序文を,現代語訳してみた。

[現代語訳]「天平二年正月十三日(730年),太宰府の長官・大伴旅人(当時66歳)の邸宅に集まって,宴会を開いた。
この時は,初春のよい月で(「月」)で,気分は快く,
風はやわらいで(「ぎ」),梅は,鏡の前の白粉(おしろい)のように白く咲いている。蘭(らん)の花は,袋の中の香のように薫っている。そればかりでなく,曙(あけぼの)の峰に雲が移り,松には蓋をかけたように煙霞がかかり,山の穴に霧がたちこめ,鳥は霧の中にとじこめられているように,林の中を彷徨(さまよ)っている。庭には,蝶が飛んできて舞い,空には,去年来た雁が帰って行く。ここに,天を屋根とし,地を座席とし,膝を交えて,酒杯をあげる。楽しさのあまり部屋の中で言葉を忘れ(「言を一室の裏に忘れ」),着物の襟を煙霞に向ってひらいてくつろぎ(「衿を煙霞の外に開く」)。淡々と欲するままにし,また愉快になって自ら満足している(「淡然に自ら放にし,快然に自ら足る」)。もし仮に文筆をとらないならば(「翰苑あらぬときには」),どのようにして心情を表現できようか。落梅の詩を記したいものだ。このような気分は,昔も今も変わりない。庭の梅を御題として,ちょっとばかり短歌でも詠もう。」

 

ボロっちくなったが,購入したときは新しかったんじゃい。