北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「先生,今,お忙しいですか?」という電話

親しい知人は,事務所の「空気」を読む。

「マチ弁」(=「町医者的弁護士」)を標榜する私のもとに相談の電話をかけてくれる(又は,私に相談者を紹介してくださる)知人は,決まって,
電話の冒頭で,
「先生,今,お電話よろしいですか?」とことわりを入れた上で,
「先生,今,お忙しいですか?」と,前置きをされる。
(「新たな事件を受任するだけの時間的な余裕があるか?」という趣旨の発問だ。)
私は,どうも「日夜,多忙」というイメージがあるらしい。

まず,一般論として,

― 私自身のことは別に置いて ―

「出来る」弁護士は,例外なく,忙しい。弁護士も選ばれる時代だからだ。
一方,「出来ない」弁護士は,どうか?
やっぱり,皆さん,忙しい。
何故なら,「筋のいい」事件(それほど苦労しなくても,収入に結びつく事件)は,えてして「出来る」弁護士の方に流れる(集中する)。その反面,「筋の悪い」事件は,得てして,相対的に評価の低い弁護士の方に流れる(いろいろ理由はあげられるが,ここでは省く。)。その一方で,「出来ない」弁護士は,事件の筋が悪かろうが(=労力を要する割に,収入に結びつかず,たとえ「薄利」であろうと),受任せざるをえない「台所事情」(事務所の経営状況)があるからだ。つまり,受任する事件を選んでいられるか!,ってな感じの状況があり,このような状況下の弁護士は,有り体にいうと「自転車操業」的に忙しく,その忙しさは拡大再生産,というか悪循環に陥りがちだ。たとえ多忙の悪循環になるとわかっていても,つまり採算の合わない事件とわかっていても,「自転車操業」(いわば「薄利多売」)に耐え続けなければ,事務所が立ちゆかなくなり,たちまち弁護士会費を滞納して懲戒処分を受けることになりかねない,という「崖っぷち」の心理的状況にあるからだ。恐ろしい業界になったものだ。

今日,電話をくだすったA氏は,
前記パターンの電話だった。
もう一人,電話をくだすったB氏(某大学医学部教授)は,
いきなり「先生,弁護士をご紹介ください。」ときた。
多分,この手の事件は,私には向かない(私の方は,「社会のため」もっと別の類型の事件に精力を集中させた方がよい。),という彼なりの「読み」と「配慮」だろうと思った。