北口雅章法律事務所

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依頼者と弁護士の相克?

依頼者の知的レベルが高い場合,
弁護士が最善の方法だと思って,起案した文書でも,
弁護士と異なる考え方のもとに,クレームがつくことがある。

この場合,依頼者と弁護士との間で,
弁護活動方針をめぐって相克が生ずるが,
もちろん,依頼者の意向の方が優先する。
特に「知的レベルの高い依頼者」の場合は,
熟慮の上で,クレームをつけてくるので,
依頼者の意向に安直に沿うこともないわけではない。

しかしながら,
弁護士として熟慮の上で起案した文書については,
安直に依頼者の意見に従うのではなく,
具体的・合理的な根拠を示して,依頼者に再考・翻意を求めることもある。
それでも,依頼者から「変更してくれ。」といわれれば,
やむなく当初の起案はひとまず撤回する。

このほど,自信をもって起案した文書について,「知的レベルの高い依頼者」からクレームがあった。
そこで,念のため,具体的・合理的な根拠を示して,再考を促す旨のメールをしたところ,

「先生のご指摘を拳拳服膺させていただき、ご返信いたします。
 今しばらくお待ち下さい。」

との返信メールがきた。
難しい四字熟語を知ってるんだね。

注:「拳拳服膺(けんけんふくよう)」とは,人から教わった事や言葉などを決して忘れることなく、常に心に留めて大切にすること。「拳拳」は丁寧に両手で捧げるように持つこと。「服膺」は胸に付けるということから、心に留めるという意味。出典は中国の古典『中庸』「八章」