北口雅章法律事務所

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チャールズ・マッケイの詩「No Enemies」

憲法学者の御幸聖樹教授(同志社大学)が、「憲法訴訟における『事実』」と題する論稿(渡辺康行編『憲法訴訟の実務と学説』日本評論社所収)の中で、法原理部門としての最高裁のあるべき姿を、チャールズ・マッケイの詩「No Enemies」になぞらえている

同教授の引用が適切か否かは評価の分かれるところかと思われるが、
(私は最高裁には、正直なところ、あまり期待していない。これまで、散々裏切られてきたからだが。)、上記引用の詩「No Enemies」は、正しいことを謳っている。

私訳(拙訳)は以下のとおり(御幸教授の訳とはニュアンスが異なる。)。

No Enemies
(「敵がいない」と宣った君へ)
  by Charles Mackay(チャールズ・マッケイ作)

You have no enemies, you say?
 (君は言うのか?「私には、敵がいない」と。)
Alas! my friend, the boast is poor;
 (アホか! 友よ。君の自慢は自慢すべきことではない。)
He who has mingled in the fray
Of duty, that the brave endure,
 (勇敢な忍辱と責任感から、闘いに身を投じた者は)
Must have made foes!
 (必然的に、敵を作った筈だ。)
If you have none,
Small is the work that you have done.
 (もし君には「敵がいない」というのなら、
  君の実績など、塵埃のようなものだ。)
You’ve hit no traitor on the hip,
 (君は、裏切り者の尻を蹴飛ばしたことなどないだろう。)
You’ve dashed no cup from perjured lip,
 (君は、ウソつき野郎の唇から、飲みかけのカップを奪取したことなどないだろう。)
You’ve never turned the wrong to right,
 (君は、決して、不義を諫め、正義を実現したことなどないだろう。)
You’ve been a coward in the fight.
 (君は、闘うべきときに、臆病者だっただけなのさ。)