北口雅章法律事務所

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「学歴詐称?」に想う(悠仁親王・大学進学問題をめぐって)

今朝の中日新聞に、田中優子女史(法政大学学長)の「学歴詐称?」と題するコラムが載っていた。小池百合子氏(東京都知事)の名前は一切出てこないが、「学歴詐称?」という標題にして、「学歴詐称が話題になっている。なんとも現代的な現象だ。」という出だしからして小池都知事のことが念頭にあることは明らかである。より端的には、浅川芳裕著『カイロ大学』から「日本の高校卒業後、直接、カイロ大学に入学する正規のルートは存在しません。…。一番シンブルな方法は『入れてくれ』と直談判することです」の記述部分を引用していることに照らし、小池都知事に対する「当てつけ」であることは疑う余地がない。
 だが、私の独断と偏見によれば、このエッセイの全体を読む限り、紀子妃(旧姓川嶋)への「当てつけ」も含まれているように思えてならない。その理由は後述のとおり。

 

悠仁親王の進学先「大学選び」が話題になっている。
田中女史の上掲エッセイの中の、「社会全体が就職や選挙のために『学問』ではなく、『学歴』と問うのは異常な社会だ。」との行(くだり)は、「社会全体が皇室には『学問』も、『学歴』も全く求めていないのに、A宮家(紀子妃)が、次期天皇(?)の『箔付け』のために、『学歴』に拘るのは異常な皇室観だ。」と置き換えることができる。

(以下、日刊ゲンダイDIGITALからの引用)

親王が京都で「一人暮らし」などできるわけがないから、この記事の趣旨は、暗に東大進学への批判であろう。

 

最近、樋口範雄名誉教授(東京大学法学部)がかかれた
「多様性の価値とアメリカ法」と題する論文(法学協会雑誌139巻3号)を読んだ。

本稿では、「そもそも『多様性の価値』とは何か」といった問題意識から、アメリカにおける大学など高等教育の場面で、特に少数人種を優遇する「affiramative action(積極的差別是正措置)」についての最近の動向が紹介されている。この関係で紹介されている、大学入学に際して、この「affiramative action(積極的差別是正措置)」賛成派(合憲論)が主張する、その正当化根拠に対する、反対派(違憲論)からの批判・反論を読むにつけ、―「少数人種」を「皇室(悠仁親王)」に置き換え、その推薦入学制度利用のことを念頭におくと、その批判が妥当するように思えてしまう。

(入学に関する)「機会の平等」を害しないか。
入学者選考(但し、学習院大学を除く。)においては、「客観的な数字による成績が基本」とされているのではないか。
「優遇措置によって恩恵を受けるのは、少数人種の中でもその上層部にいる人たちだけであり、実は彼らに優遇措置はもはや不要である。」
そもそも少数人種であるために入学が認められたという事実は、当該学生にとっても大きなstiguma(恥辱感・不名誉)となる。