北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

母の「蛇嫌い」

今朝、読賣新聞「編集手帳」は、「蛇穴を出づ(へびあなをいづ)」という、春の季語にちなんで、ルワンダ難民(アフリカ)の救援に派遣された自衛隊員らが、現地のテント住まいの中で、「ハエを食べてくれる」カメレオンを飼っていたという話や、は虫類ペットの愛好家が少なくないなどの話を紹介している。そして、末尾では、は虫類を「心底苦手とする人」が多いことも指摘する。

 

この記事を「コメダの喫茶店」で読んでいて、「筋金入り」の「蛇嫌い」である、母のことを思い浮かべた。しばらく、会いに行っていないが…。

ともかく、私の母の「蛇嫌い」は徹底している。
「蛇」が嫌いであるのみならず、「蛇を連想させるもの」も受け付けない。すなわち、「鰻(ウナギ)」を食べないばかりか、「穴子(あなご)」も食べない。外食店で出された「混ぜ御飯」を美味そうに食べていたかと思っていたところ、姉が横から「中に穴子が入っているよ。」と告げた途端、顔色を変えて、口から戻そうとしたこともあった。

昨日、東京で大学受験に向けて勉強を始めたという甥御に久しぶりに会う機会があり、現在の受験事情を聞いたが、それはさておき、私が受験時代に使っていた参考書の中で、「…を毛嫌いする。」という日本語の英作文問題とその解説があったように記憶している。「母は蛇を毛嫌いする。」を英訳せよ、という英作文問題が出たらどのように解答すべきか?
ノーマルな解答は、My mother hates snakes.であろう。
だが、これでは「毛嫌い」というニュアンスは、出てこない。私が受験時代に使用していた参考書によれば、正解は、
My mother has a prejudice(偏見) against snakes.
だったと記憶している。

このような母の「蛇嫌い」にまつわる思い出として、心理学的に興味深い思い出が二つほどある。「引き寄せの法則」と呼ばれる現象ではないかと思うが、「潜在意識の中で、蛇を毛嫌いしていると、不思議と、蛇を引き寄せる」?という法則があるらしい。

私が育った名古屋市の中心街(東区・中区)では、私が幼稚園~小学1年の頃の東区には、まだ(野生の)蛇がいた。その後、中学校時代にもなると、高度経済成長が進んで、さすがに中心街は鉄筋コンクリートと建物が並び、道路は全てアスファルトで舗装された。

にもかかわらず、私が中学生のとき、当時、4階建てアパート(中警察署裏の官舎)の1階に住んでいたとき、すぐ前の花壇の手入れをしていた母が、絶叫をあげたことがあった。私は、何事?と思って、すぐにベランダに出て、母が居たと思われる、目の前の花壇の方を見やると、かなり大きな青大将(蛇)が花壇にそって、ゆっくりと移動していたのであった。

それから、約4年後。父が、犬山警察署の署長を拝命したとき、私は高校を卒業し、自宅で「宅浪」していた。当時、名鉄犬山駅を降りてすぐの、住宅街の中に、平屋・一軒家の署長官舎があった。犬山城を背に、南側に小さな庭があり、私は、北側の小さな小さな小部屋で、猛勉強(?)していた。と、またしても、母の絶叫を聞いたのだ。…と書こうとしたが、よくよく思い起こすと、私が、受験勉強をサボって、近所のパチンコ店で、パチンコに耽っていたときのことだったかもしれない。母がいうには、「庭の木の上で、蛇が、木の枝に巻き付いていた。」とのことであった。数年間みかけなかった蛇が、母の潜在意識に引き寄せられたかの如くに、めずらしく姿を現したらしい。(母が110番通報したかどうかは知らないが)父の部下の警察官らが駆け付け、蛇を捕捉し、外に搬出してくれたそうだ。

さて、このような母のもとで、育てられた私は、その後、どうなったか。
そう、「母のお陰」で、「長いものに巻かれること」を忌み嫌う、「反骨」の弁護士になったのであった。