北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

ある昼休みのひととき

新司法試験制度が採用された前後からは,弁護士の数が激増したため,同じ愛知県弁護士会の弁護士であっても,「顔と名前」が一致せず,殆ど「顔」さえも,覚えられなくなった。
が,私が弁護士になった当時の旧名古屋弁護士会の場合,新規登録者は概ね毎年20名前後だったので,同会内の弁護士であれば,「顔と名前」が概ね一致し,覚えることができた。したがって,当時,名古屋地裁管内でご活躍されていた先輩弁護士であれば,概ね顔見知りだ。

今日,事務所近くの地下街で,昼休みにウドンを食べた後,
地上に出ると,久屋大通りの交差点の角にある花壇の上に,ご老人が杖をついて,座っていた。
ありゃ,あのTaikei(体型)は,帽子を被ってみえるので,Taikei(泰啓)先生かな?
と思ったら,やっぱりTaikei先生(弁護士)だった。刑事弁護で高名な先生だ。

「あら,先生,お久しぶりです。」
「やぁ,ちょっと一杯ひっかけてきたところだ。くたびれたので,休んでいた。」
「昼間から,お酒ですかぁ?」
「ハハハ・・・,」

と,笑いながら,立ち上がられる。そして,並んで歩きながら,

「この歳になると,依頼者から,まず年をきかれる。
 それから,『先生,いつまで弁護士として働かれるおつもりですか?』って聞かれるんだよな。」

「先生,おいくつになられましたか?」

「7×歳。だいぶん,くたびれてきた。」
「そんなこといってちゃ,ダメですよ。
 石原ボスは,80代前半までは矍鑠(かくしゃく)としてみえましたよ!」
「そうかあ,・・・・。あんまり,仕事もないし・・・」
「国選弁護は,なされないのですか?」
「昔は,誰もやり手のない国選ばかりやってきたが,今は,あんな法テラスなんかに登録して,法務省の下で働けるか!?,ってんだよ。」
「そうですよねぇ」
「君は,刑事弁護やってんのか?」
「いえ,裁判員制度に反対ですから。刑事弁護からは,基本,脚を洗いました。」
「ああ,そうだよなあ。あの制度は,おかしいよなあ・・・」

・・・てな感じで,先輩弁護士とは,話しが通じる。