北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

ホームページ開設にあたって

 我々旧司法試験の世代(司法試験合格者数:年間約500名だった時代)は,法曹資格を得るのに“苦節10年”も珍しいことではなく,その反面,司法試験に合格しさえすれば,裁判官・検察官への任官は必ずしも困難なことではありませんでした。そして,2年間の司法修習を経て,弁護士登録を選択した場合も,業界内では「予定調和」的な秩序が形成されておりました。即ち,弁護士登録と同時に法律事務所に就職し(「イソ弁」:居候弁護士の略),一定年数(概ね3年~5年)の修行・研鑽を積み,与えられた課題や会務に真摯に取り組んでいれば,「神の見えざる手」に導かれるかのように次第に自分に見合った仕事が回ってきたり(多くは先輩弁護士の暖かい配慮や弁護士会からの国選事件・法律相談の配点・依頼からくるものでしたが),業務をサポートしてくださる方々が自然発生的に現れ,自分の「器」とその「容量」に見合った職場環境が自ずと整うといった,弁護士にとっては幸福な時代でした。このような恵まれた時代環境のもとで育てられた弁護士は,近時の新人弁護士と対比しますと,多少なりとも経済的な余裕がありましたので,ボランティア等の公益活動(プロボノ)にもエネルギーを傾注することができました(弁護士会・弁護士による人権擁護活動の殆どは,ボランティアに支えられてきました。)。

 ところが,司法制度改革審議会意見書(平成13年6月12日)の答申を踏まえた,司法制度改革の過程で,「法曹が『国民の社会生活上の医師』の役割を果たすために」などという理念のもとに,法曹の大量増員政策が断行された結果,わが弁護士業界も大きく変貌してしまいました。即ち,結果として弁護士だけが大量に増え,IT(情報通信技術)の発達と広告解禁(コマーシャリズムの普及)と相まって,良きにつけ悪しきにつけ,弁護士・法律事務所に関する情報が巷に溢れかえる時代となりました。また,かつては,先輩弁護士と共同受任するなどして,相当な経験を積まなければ取扱いが困難であった筈の専門分野であっても,新人弁護士がホームページ等で自ら「取扱い分野」を標榜して新規参入してくるようになり,「弁護士資格」そのものへの社会的信頼が相対的に低下してきたといった非難さえも耳にするようになってきました。
かくて弁護士は,企業・一般市民から「選別」され,「選択される業種」となってきたように思います。

 このような時代背景から,私も,-従来からの “信条(スタンス)”は堅持しつつも-,法的紛争や弁護士選びでお悩みの方のため,(特に,私がこれまで重点業務の一つとして手掛けてきた医療事故や,交通事故に遭われた被害者・ご遺族のため),かつての典型的なイスラム女性が頭からスッポリと被ったヴェールを自ら剥ぎ取るような思いで,私の弁護士業務に関するスタンスと,これまでの私の実績の一端をご紹介すべく,ホームページを立ち上げることにしました。
お役に立てることがあれば幸いです。

 

平成25年9月記