北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

林眞琴・新名古屋高検検事長への期待

私は,このブログで,再三,高野利雄・元名古屋高検検事長を批判したところ,
 https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=1345
 https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=1394
 https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=1372

思いがけず,多方面から多大な賛意をいただいた。
中には,県外の某県立病院の心臓血管外科部長の某医師から,メールをいただき,
私のブログに「共感・共鳴し,スカッとした」ので,
医療訴訟に全面的に協力してくださるとまで,申し出てくださる方も現れた。
大変嬉しく,ありがたいことだ。

ところで,今般,名古屋高検検事長が代わった。
新名古屋高検検事長は,元法務省刑事局長の林眞琴さんだ!
地元愛知県豊橋市が生んだ「検察庁のエース」登場である。
(ちなみに,私も生まれは,眞琴さんと同じ愛知県豊橋市出身じゃい。)。

 

「国民に信頼される,頼りがいのある検察をつくっていく」,
「検察は独善的な強さではなく,常に内省する謙虚な姿勢を忘れてはならない。」
さすがに素晴らしいことを宣われる。
是非に「検察改革に向け」「辣腕(らつわん)」を奮っていただきたいものだ。

実は,眞琴さんとは,知らない関係ではない。
(先方は,私のことは多分忘れてはいないと思うが…)

平成18年のことだから,既に10年以上も前のことだ。
名古屋刑務所事件・革手錠事案で,保護房内で,
刑務官が二人掛かりで,革手錠の革ベルトで,懲役受刑者の胴囲を緊縛している場面が録画されていた。
これに対して,検察官検事がイチャモンをつけてきた。
「二人掛かり」でベルトを緊縛するとは何事か!,

それ自体が犯罪行為だ!,という趣旨の主張だ。

これに対し,当時の矯正実務の実情は,暴れまくる懲役受刑者を前に,
革手錠の迅速な施用のため,二人掛かりで革ベルトを引張するこも行われていたことから,弁護側としては,その旨の反論をした。

そこで,

私は,当時の実質的な「弁護側の特捜部長」にして,
衆議院議員法務委員会・野党筆頭理事(民主党)だった
河村たかし先生(現名古屋市長)ツテで,
法務省矯正局における実務家のトップ(成人矯正課長)に証人尋問の協力を要請すべく,
同省同局に出向き,その協力を打診した。
この際,「公正な立場から」同省同局の窓口となり,
同省同局の総務課長として,上記証人尋問の実現にご協力いただいたのが,眞琴さんだった。

お陰様で,刑事公判では,私は,当時の同省同局成人矯正課長から,
「2人が革ベルトの引き方に関与したからといって,直ちに違法とはいえないだろう」
との証言を引き出すのには成功した。
(それでも,結論は有罪だったが・・・)

そのときの,証人尋問調書を読み返すと,
上記証言に引き続いて,私は「イヤミの」尋問を繰り返している。
検察からは異議が出たが・・・

(以下引用)
北口弁護人
個々の具体的な場面,あるいは,状況によっては,2人がかりで(革ベルトを)引いたからといって,直ちに比例原則に反するなりといった違法の問題を生じないということは,これは,横田矯正局長(注:横田尤孝局長,後の最高裁判事)も認められていることですね。

児玉検察官
異議あります。それは関連しない質問だと思います。

北口弁護人
これは矯正局の見解として聞いていますけど。

裁判長
これは関連あるんじゃないでしょうか。どうぞ,

課長証言→)これは,先ほどの局長の答えということになりますと,先ほどの法務委員会の審議の場面ということになるかと思うのですが,そこで局長の答弁としましては,革手錠の使用が違法か,あるいは,適切でないかについては,個々の具体的な場面で事実に即して判断されるべきものなので,単に2人で革手錠のベルトを引いたという一事によって,直ちに違法であるということはないというふうに,そういう答弁があったと記憶してます。

・・・・以下(略)

 

眞琴様 新高検検事長ご就任,マコトにおめでとうございます。
是非,「国民に信頼される,頼りがいのある検察」の実現に向け,
ご尽力のほど,お願い申しあげます。期待してます。
                                                    敬 白

 

 

追記(令和2年2月20日)

(独り言)「絶望視」されかかっている次期検事総長人事について,私は,未だ諦めていない。外野席から観察するに,稲田検事総長が定年退官(令和3年8月13日)を迎えるまで現職で粘り,その間に,K検事長が定年延長期間の期限切れになれば,林眞琴弁護士(?)の検事総長就任も,稲田検事総長が強く推せば,ありえなくはないであろう。この場合は,令和3年8月29日の池上政幸最高裁判事(元大阪高検検事長)の後任人事の打診があっても,林眞琴弁護士(?)が,これを断ることが前提になろうが(多分,断ると思う。),稲田検事総長の意向が,どの程度,官邸に通用するか?・・・。むしろ問題は,今年,年内に解散総選挙になって,官邸構成が変わるかどうか・・・,が勝負どころではないかな。