北口雅章法律事務所

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ズバリ、ドンピシャリ的中!、第1号事件

 弁護士業を30年以上続けてきたが、これまで事件番号で、名古屋地裁であれ、名古屋高裁であれ、「宝くじ」に当たるか当たらないかレベルの確率で、第1号の番号のついた事件を経験したことはなかった(毎年、各裁判所毎に「受付順」に、地裁の一般民事であれば、令和6年(ワ)第1号、第2号…と番号がつけられ、高裁の一般民事であれば、令和6年(ネ)第1号、第2号…と番号がつけられる。例えば、来月東京高裁で判決を受ける予定の訴訟事件の事件番号は、令和5年(ネ)第3077号で、原審での事件番号は、東京地裁令和2年(ワ)第19769号だった。東京地裁の裁判官は、毎年、約二万件もの裁判を処理していることになる。)。

 ちなみに、新年早々、裁判所の業務開始と同時に、訴状を受付窓口に持っていったとしても、第1号の事件番号がつくとは限らない。おそらくは、年末に郵送、あるいは宿直窓口への持参等で到着していた新件の訴状、控訴状等から番号がつけられていくのではないか。昨年11月末に控訴した静岡地裁判決の事件の場合、静岡地裁がサボっていたのか、同地裁が東京高裁に記録を送付したのは、控訴状の送付から約1か月も経過後の1月5日のことだった。1月9日、東京高裁に電話したところ、「記録は1月6日に高裁に届いているが、まだ事件番号が付けられていない。」とのことであった。そこで、昨日、改めて事件番号と配属部を確認すべく東京高裁に電話したら、事件番号は、既に令和6年(ネ)第92号であった。
(新年約1週間たった昨日の段階で既に、私以外に少なくとも91名の御仁が、東京高裁管内の地裁判決に不服・不満を持っているということになる。)。

さて、本題。

昨日、最高裁から「記録到着通知書」が届いた。
なんと、第1号!

 

しかも、予想どおり第二小法廷!

 

本事件は、ひょっとして、第二小法廷に配点されるのではないか?と、内心、密かに想像・期待していた。というのも、本事件は、芸術祭「あいちトリエンナーレ」に係る住民訴訟であるが、愛知県知事は、愛知県が国から内定をもらっていた「補助金」について、その減額の原因となった大混乱・騒擾を企てた人物に対し「愛知県民のために」減額相当額の損害賠償請求をせよ、という裁判である。
 一方、補助金が絡む最高裁判決といえば、昨年、第二小法廷がくだした、劇映画「宮本から君へ」助成金不交付決定処分取消訴訟判決(令和4年(行ヒ)第234号・同5年11月17日)が真っ先に思い浮かぶ。やっぱり、「補助金(助成金)」「表現の自由」つながりで、第二小法廷に配点していただけたか…と、― 未だ受理されたわけでもないし、不受理の可能性も高いのだが ―、感慨もひとしお(これも前最高裁首席調査官にして、名古屋高裁長官の差配かな?)。ただし、あいちトリエンナーレの問題は、私自身は、「表現の自由」の問題ではなく、「公金の使い途」の適否の問題であると理解している。

劇映画「宮本から君へ」に係る最高裁判決に思う

ってことは、あるいは裁判長も同じかな?と予感と期待を抱きつつ、最高裁第二小法廷の担当書記官に電話して尋ねてみると、やっぱり裁判長(主任裁判官)は、「宮本から君へ」判決と同じく、尾島明裁判官元最高裁首席調査官)であった。やっぱりなぁ…!
是非とも、名古屋高裁民事3部の支離滅裂判決に対し鉄槌となるような判断をくだしていただきたいものだ。

 

 

実は、当職の上掲・住民訴訟は、もともと最高裁第二小法廷とご縁のある事案であった、というか、そのように仕立てた事案でもあった。
 何故なら、上告理由の理論的な根拠の一つとして当方が上告理由書の中で援用しているのが、名古屋市の検証委員会の判断であるが、この検証委員会の座長は、かつて最高裁第二小法廷に所属されていた地元愛知県出身の山本庸幸・前最高裁判事(河村市長の旭丘高校時代の後輩)であった(WADASUが河村市長に座長就任を依頼するよう推薦した。)。また、上告理由書では、「結語」において、「裁判の生命というのは、いうまでもなく妥当な結論」であるといった、これまた地元愛知県出身の北川弘治・元最高裁判事の「お言葉」を援用して原判決を批判している。そして、実は、この北川弘治・元最高裁判事も、かつては第二小法廷に所属されていたのだ。

名古屋高裁民事3部から受けた屈辱的判決に対する「怒り」

 

第二小法廷ずくめで、何とか最高裁として、正しく、見識のある判断を示したもらいたいものだ。ただ、本件の場合も、国が補助金を減額したこと自体が問題であった、と言われてしまえば、それまでだが、あれだけの「国辱」作品をズラリと並べて、騒動を起こしたのであるから国による補助金減額が不相当だったとはいえまい。