北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

法科大学院のディレンマ

法科大学院への入学希望者(=法曹志願者)の減少(激減)が止まらない。
「法曹離れ」=「法科大学院離れ」が絶望的に進行している。

ある大手新聞社(讀賣新聞)は言う。
その原因は,「司法試験での合格率の低迷だ!」と。

では,「司法試験の合格率」を上げたらどうなるか?

 益々,司法試験合格者のレベルが下がって,
 「法曹資格の価値」が下落(暴落)し,
 益々「法曹離れ」=「法科大学院離れ」が進行するであろう。

では,逆に,「司法試験の合格率」を下げたらどうなるか?

 「優秀な人材」だけが合格し,「法曹離れ」は止まるかもしれない。
  が,そのような「優秀な人材」は,法科大学院を利用せずに,予備試験で合格するであろうから,
   「法科大学院離れ」がさらに進行して,
  いよいよ全国各地の法科大学院の経営は,確実に破綻する。

(かくて,いわゆる「司法改革」において,佐藤幸治氏(京大名誉教授),及び井上正仁氏(元東大教授)らが企図した,

 法曹養成制度[法科大学院制度]が歴史的な「大失策」「大失敗」であったことが,露骨にバレる

これぞ,「法科大学院のディレンマ」である。

 

井上正仁・法科大学院等特別委員会座長(元東京大学法学部・刑訴法教授)は言う。
(法科大学院の)志望者がどんどん減っていく。法科大学院として…集めようと努力してきたにも拘わらず、学生の方が志望してこなくなってきているというのが実情なのですね」,「それはなぜかといいますと、様々な原因があるのでしょうが、やはり最も大きいのは司法試験が難関であることであって、…」,「そういう構造的な問題点をどうにかして変えていかない限り、問題は解消しない」と(中央教育審議会法科大学院等特別委員会・第80回会議)

あのね,「構造的な問題点」は,「司法試験が難関であること」にあるのではなく,
法科大学院制度そのもの」にあるんだよ。
言い換えると,
「構造的な問題」の所在(法曹志望者の激減の原因)は,
法科大学院制度の「構造的な問題点」を自覚できない,
アンタ(=井上正仁氏)ご自身の「頭の構造」(法科大学院原理主義)に原因があるんだよ!!!

 

(日弁連作成)