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円空仏の真贋「府中市美術館の責め方」― 続報
- 2025-03-20
【これまでの経緯・概要】
府中市美術館が本年3月~5月に開催した美術展(「ほとけの国の美術」)において、「円空仏」として展示された〈聖観音菩薩立像〉が「偽作」ではないか、との疑いがあるため、先のブログで紹介したとおり、私〈円空学会・会員〉の方から、府中市に対し情報公開条例に基づいて、同市(美術館・学芸員)が当該円空仏を「真作」と認めた根拠資料を情報開示するよう請求したところ、府中市から関係資料のうちの一部(「伝来」情報、個人識別情報)を除き、情報開示された。
これに対し、私の方では、府中市の審査庁に対し、その一部不開示(「伝来」情報)の不当性を主張して審査請求を申し立てた。
(以上につき、続々・円空仏の真贋「府中市美術館の責め方」)
これに対し、処分庁(府中市長)の方から、審査庁を介して、弁明書が送られてきたので、私の方では、即座に反論書(令和6年11月22日付)を審査庁に送付した。
【その後の経過】
私の上記反論書に対し、処分庁(府中市長)から再弁明書(令和7年1月31日付)が送られてきた。再弁明の要旨は、本件円空仏の「伝来」情報が、条例7条2号(「伝来」情報にも、個人識別情報を含む)、同条4号(特定個人・法人の財産権侵害のおそれ)、同条6号(所有者との口外禁止約束)、及び同条7号(所有者との口外禁止約束違反に伴う責任追及・損害賠償義務を負うおそれ)に該当する、というものであった(6号、7号は新たに追加された理由である。)。
私は、円空仏のような重要な文化財の「伝来」情報は、一般的に公開されるべき性格の情報であって、「口外禁止約束」などナンセンスであることから、それによる損害賠償義務の発生の可能性など、およそ想定できない等の反論を記載した反論書(令和7年2月18日付)を作成し、府中市・審査庁に送付した。
すると、今般、府中市長から、私の上記審査請求の当否を検討すべく、府中市の行政不服審査会に諮問した旨の通知書(令和7年3月10日)が送られてきた。行政不服審査会は、専門的な学識経験者で構成される、府中市長の諮問機関である。
そこで、私の上記案件は、どのような方々に審査されるのか?と思い、調査してみることにした。
通常であれば、各地方公共団体は、そのホームページ上で、行政不服審査会の委員名簿を公開している。例えば、愛知県も、名古屋市も、委員名簿を公開している。
ところが、府中市の場合、ホームページ上では委員名簿を公開していなかった。しかしながら、諦めるのは早い。誰が委員であるか? は、審査会議事録や、過去の審査諮問事案に係る答申書が公開されているので、すぐに分かる。…ということで、調べてみると …。
ワオ(wow) !、上原敏夫先生(一橋大学名誉教授・民事訴訟法)が構成員ではないか。
(参照ブログ)
その他の委員は、大蔵隆子会長(弁護士)、佐藤彰子委員(税理士)、滝沢昌彦委員(民法学者、法政大学教授、一橋大学名誉教授)、藤井秀男委員(司法書士)らしい。
もしも私の審査請求が棄却されたら、即、行政訴訟を考えていたが、答申書の内容を慎重に検討せざるを得ないことになりそうだ。
(つづく)
(関連ブログ)