弁護士のブログBlog
11月6日 北海道・札幌市内で,すすきの(繁華街)からタクシーに乗車した
30代の男性(後に弁護士と判明。酩酊状態?)が,経路をめぐってトラブルになり,
後部座席から,運転席の防護板を足蹴にして破壊するなど,
運転手に向かって暴行を振るい,
運転代金を踏み倒したまま,その場を立ち去った旨のニュースが話題になっている。
タクシーのドライブレコーダーが,当時の暴行場面を生々しく再現している。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3208062.htm
タクシー会社が被害届を出したのを受けて,
警察は,手堅いところで,器物損壊罪の嫌疑で,捜査を開始した模様だが,
事態を重くみた,札幌弁護士会は,市民に向けてお詫びの会長声明を出している。
さて,上記弁護士には,何罪が成立するであろうか。
器物損壊の外に,暴行,窃盗が成立するとのネット情報が出ていた。
そうであろうか?
私の実務感覚は,若干異なる。
タクシードライバーが,もし「酔っ払い弁護士」から暴行を受けなければ,
当然に運賃精算を要求すべき情況のもとで,激しい暴行を受けたことに因り畏怖していたために,
運賃精算の要求を一時的にしろ断念したもので,「酔っ払い弁護士」の方では,
一時的にせよ運賃清算の義務を免れたものとして,財産上の利益を得たといえなくもない。
であれば,いわゆる「2項強盗」(強盗利得罪)が成立するというべきではないか。
ちなみに,2項強盗の法定刑は,5年以上の有期懲役(刑法236条2項)。
一方,「禁錮以上の刑に処せられた者」は弁護士資格を剥脱される(弁護士法7条)。
検察の温情による,起訴猶予を狙う他ないが,
事案の性質としては,決して軽微な事件とも思えない。
さて,検察はどのような対応をとるのであろうか。