北口雅章法律事務所

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「黒川前検事長を不起訴」(朝日新聞)の記事に思う

 検察は,やり過ぎても,「検察ファッショと批判をあび,
 逆に,手加減すると,「上級国民を差別したと批判をあびる。

 匙加減の難しい局面ではあるが,結論自体は,穏当なもので,
最初から想定されていたものだ。
私が,東京地検の検事正だったとしても,同じ判断をしたと思う。

「処分理由は,『嫌疑不十分』ではなく,『起訴猶予(=嫌疑あり 』なんだら,
後は,検察審査会で,よろしくやってくれ。」
というのが『検察の本音』であろう。

 

が,しかし,上掲・朝日新聞の記事によれば,
理論的は,あちこちで「綻(ほころ)び」が見えるのも事実だ。

「旧知の間柄」で,「約3年目から月1,2回の頻度」
であれば,「共謀」して「犯罪行為」をなすには,それなりの「信頼関係」が必要であるから,3年よりもずっと前から(おそらく10年以上も前から),交流があったものと推認されるのであって
「常習性(反復・累行)」を否定するのは難しい。

「法務省の調査では,現金のやりとりは1万~2万円程度」で,
「動いた金額は多額ではない」という。
「常習性(反復・累行)」にして,「接待麻雀」の要素を考慮すると,
金額は相当程度の金額に上っていることは,自明の理である。
そもそも,「法務省」には「捜査」権限がなく
「検察が」がどの程度の「捜査」をしたか? あやしいものだ。
本件賭博行為の直前,「共同参加」した各記者が,
ATMから,どの程度の金額を引き出して用意(支払準備)していたか?,
によって,日常的なレートが合理的に推認される。
日頃の「レート」こそが重要であって,
当日,現金がいくら動いたか,
「特殊ルール」を採用していたか否かは些末な問題であって,
麻雀賭博の可罰的違法を左右するものとは思われない。

「娯楽の延長腺上にあ」れば,違法性が薄まるというのであれば,
あらゆる麻雀賭博は,「娯楽の延長腺上にある」!

「辞職で社会的制裁を受け」ているというが,
そもそも黒川前検事長の場合,
「違法な定年延長」で検察職にぶら下がっていたに過ぎないのであるから,
「辞職で社会的制裁を受けた」とはいえまい。
「退職金ゼロ」であれば,「社会的制裁を受けた」とはいえるが,
この意味では,「社会的制裁を受けた」とはいえまい。

「事実を認めて反省」すれば,「起訴猶予になる」というのであれば,
「公判検事はいらない!」ともいえる。

なんだか,検事よりも厳しい「論告」のようなブログになってしまったが,
朝日新聞の記事の中に出てくる,
二箇所の「おわびします」の文字(赤色枠で囲った)が,
いかにも朝日新聞らしく「アンバランス」なので,
ひと言,二言,嫌味を書き込みたくなった次第。