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円空の信仰

円空が信仰し崇拝した白山神女神であった。
実際,円空が初期に造顕した白山神は,「女神」の像容である。

福田寺(岐阜県武儀町)「円空―慈悲と魂の芸術」展(朝日新聞社1994)

 

また,延宝7年(1679年),円空(当時48歳)が白山神から「ご託宣」を受け,熊野神社(岐阜県郡上市美並町杉原)に遺した十一面観音も「女神である。

この十一面観音の背銘には,「白山託告言・千多羅瀧・是有廟・即世尊」(白山神から御託宣があった。八幡町の「千虎の滝」にて。是[=円空佛]が,世尊[仏]の廟[住処]となっている。つまり,円空仏には神聖なる佛性が宿っている。)と記載されている。
泰澄和尚を開祖とする白山信仰においては,その本尊(白山神イザナミノミコト)の本地仏は十一面観音である。円空が,初期段階で東北・北海道を巡錫した際に造顕した仏像の殆どは,十一面観音と聖観音の像であった。マックス・ウエーバーによると,「釈迦」は本来男性であるが,「観音」は本来「女性の菩薩」ないし「慈悲の守護女神」であり,この観音を「経典(スートラ)」に登場させ,観音像にみる女性的性格を受け容れたのは,大乗仏教の中国的特徴を示すとのことである(Max Weber 『宗教社会学論集第2巻』)。