弁護士のブログBlog
「弁護士の魅力」って、何だろう?
- 2025-01-22
まもなく、次年度・愛知県弁護士会の会長選挙の投開票がある。
本日、突如、二人の候補者から、同時に、「私の所信」なる冊子が届いた。ここ十数年、会務から離れており、毎年、会長候補者から届く「私の所信」も殆ど読まないのであるが、今回の会長選挙は、同期の女性弁護士と、4期先輩の男性弁護士との一騎打ちとなる模様なので(いずれも知人)、斜め読みしてみた。ちなみに、既に同期の男性弁護士約2名から「解っとるな!?」と、投票行動に向けた、念押しの電話があったところではあるが…。
お二方の「私の所信」は、現在の弁護士会が抱える問題について、「八方美人的に」かつ「網羅的に」言及されているので、大同小異といった印象はぬぐえない。
いつ頃から「私の所信」で言及されるようになったのか知らないが、お二方ともに、「法曹志望者の確保」が、弁護士会が現在抱える重要課題として言及されていた。他の職業と比較しても、「法曹(裁判官を含む)に魅力がない」、「弁護士という職業に魅力がない」。そのため、法曹志望者・弁護士希望者が減少の一途をたどり(我々の時代の司法試験受験生は毎年約2万人いたが、昨年度の司法試験受験者数は3779人だったらしい。)、しかも、弁護士の就職先も東京への一極集中(又は、大阪との二極集中)が進み、愛知県弁護士会への新入会員の数も減少の一途をたどっているらしい。「法曹の魅力」が下がり、司法試験合格の難度が(我々の頃に比べると)低下しているにもかかわらず、法曹に人材が集まらないというのであるから、必然的に、「法曹の質」が低下し、「裁判所の劣化」や、「弁護士の能力不足」の事態が進行するのも当然であろう。このような事態に至った原因は、単に少子化が進んだからだけではなく、需給バランスを無視した司法改革(弁護士の大量増員政策)の弊害も原因であって、「日本人全体の劣化」が進行していることの顕れであろう。
上記お二方ともに「私の所信」で言及されていたことだが、日弁連では、「法曹の魅力発信」の目的で、「弁護士になろう!☆8人のチャレンジ」というリーフレットを作成して、8名の若手弁護士に、弁護士業務の魅力を語らせ、その多様性をアピールしており、わが愛知県弁護士・男女共同参画推進本部では、「あつまれ!リーガル女子」との企画を数年前から始め、中高の女子学生を対象に法曹関係者と談話の機会をもつイベントを行っているらしい。
だが、ワープロで、「魅力」と打ったつもりが、心なしか「無力」とキーボードを打ち間違えてしまうのは、何故だろう。収入が保障されない、「適正な報酬」を確保できない、今の弁護士業界・社会環境のもとで、「弁護士の魅力」を訴えても虚しいのではないか。ってことは、キーボードの「無意識の」打ち間違えも、あながち偶然だけでもなかったのかも…