北口雅章法律事務所

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何でぇ! 元訟務部長は外されたのかぁ・・・

国を相手とする行政訴訟においては,
国側は,訟務検事が国の代理人として,裁判手続に携わる。
訟務検事の多くは,文字どおり「検事」であるが,
中には,裁判所からの「出向」(判検交流)で,本籍は「裁判官」であることもある。
そして,名古屋地裁の管轄下で,訟務検事を統括するポストが,
名古屋法務局の訟務部長だ。
当然,行政訴訟に習熟し,それ相応の法的素養をもった方が
名古屋法務局・訟務部長のポストにつかれる。

先日のブログで,国相手(代表者・山下貴司法務大臣)の行政訴訟で敗訴判決を受け,
「中東の笛」判決ではないか?,
と腹立ったことについて,書込みした。

(関連ブログ)
 「腹立つわぁ! いきなり同期に負けるかぁ??」
  https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=4236

本件は,即座に控訴し,
運良く,名古屋高裁民事2部に係属した。
何故,「運が良く」というか? といえば,
同部の部総括判事(裁判長)は,元最高裁調査官で,
名古屋地裁行政部の部総括のご経験もある。
であるからして,藤山部長が退官された後の名古屋高裁では,
行政関連訴訟に関しては,名古屋高裁2部が事実上の行政専門部に近く,
ここで負ければ,諦めもつくからである。

さて,現在の名古屋高裁第2部には,
名古屋法務局の元訟務部長の裁判官も配属されている。
したがって,私は,上記控訴事件については,
当然,行政訴訟に造詣が深いと思われる元訟務部長が,
主任裁判官になるものと思い込んでいた。

そして,本日,心血を注いで書き上げた控訴理由書を裁判所に提出した際,
裁判所書記官に電話し,「主任裁判官はどなたですか?」とお尋ねしたところ,
エッ?という回答だった。
元訟務部長の裁判官は,上記控訴事件の合議体から外されていたのだ。

どうやら,元訟務部長というだけで,国側との利害関係が疑われ,
ひいては裁判の公正さの外観が損なわれる可能性がある,
という配慮から,元訟務部長の裁判官は,国相手の行政訴訟からは,外されたようだ。

当方としては,たとえ元訟務部長というキャリアがあっても,
主任裁判官ともなれば,公正にジャッジするだろうと思っているので,
意外に思ったが,「そういうものかぁ。」とも思った。

そして,訴訟代理人さえも思いも及ばなかった,
裁判所の慎重かつ賢明な配慮に,妙に感心した。

 

それにひきかえ,
法務省の慎重さを欠いた,下記のニュースには呆れた。

山下法相 曰く「不適切な・・・」だと?!!
違うだろ! 「言語道断で,違法な・・・」の間違いだろう。