北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

またしても,「再逆転の方程式」

行政訴訟で,名古屋高裁が,国側を逆転敗訴させると,

藤山雅行部長の判決かな?と推定が働き(「逆転の方程式」),

国を逆転敗訴させた名古屋高裁判決が,最高裁で覆って,

国側が再逆転勝訴すると,

その原審は,藤山雅行部長の判決かな?という推定が働く(「再逆転の方程式」)

 

やはりね。

 

宇賀先生,理論・理屈じゃあないんですよ。

本件は,「人権感覚」の問題であり,「国民が司法に求めるバランス感覚」の問題であって,

「特別事情」などといった厳格なしぼりをかけてしまっては,

いくら補足意見で,今後の一般的・抽象的可能性を論じても,虚しく響くだけのこと。

 

 

(令和2年2月27日・記)先日,宇賀克也最高裁判事が裁判長としてくだした原爆症認定申請却下処分取消請求事件に係る最高裁令和2年2月25日第三小法廷判決(本件宇賀判決)の評判がすこぶる悪いせいか,宇賀先生の人物評価の参考資料を求める趣旨か,私が,宇賀先生の最高裁入りをめでた昨年のブログに対するアクセス件数が増えた。本件宇賀判決に関する私の感想は,上記のとおりである。本件宇賀判決は,理論的には正しいと思うが,結論的には,やはり国民の納得・共感は得られないと思う(この意味では,やはりdisappointing なものであった。)。宇賀先生には,(国民・住民保護,社会的弱者保護の見地からの理論的な精緻さにはこだわっていただきたいものの),かつて団藤重光名誉教授(東京大学・刑法)が,「学者的良心」と「実務家的良心」とは異なるとして,学者としては,共謀共同正犯理論に対し否定的な解釈論を展開していたところ,最高裁判事になられてからは,判例法理として定着していた共謀共同正犯理論を受け入れたごとく,具体的な結論としては,人権救済の方では,理論的厳格さに固執しない柔軟な判断・対応を求めたいものだ。